うめぼし(池田ソメ) [詩]

そりゃ あの時や ナンデガンスヨ
茶の間のガラス戸棚といっしょに
ころげたんでガンス
ガラガラ ガラガラ揺れる拍子に
屋根の上へ ずり出たんでガンス
ずりでる言うても 出られぁしまへんけ
出して貰うたんですよね まあ
神さんか仏さんかに

やれ難儀ややれ痛や
早う息が切れりゃ
参らせてもらえるんじゃにと
梅干を口に入れて貰うたんは
三日目の朝でガンシタ
「この婆さんは 死んでしもうたか
かわいそうに
南無アミダ 南無アミダ」
と わしの顔を撫でんさった
「生きとる 生きとる」言うたら
大きな梅干を
わしの口へ呉れんさった

梅干言うもんは ええもんでガンス
その梅干のおかげでガンシタ
わしは 元気が出ましてなあ
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